高1の二学期の流れ

いよいよ高1の二学期が始まりますが、この時期は三年間の高校生活の中で最も「意味づけがしづらい」時期です。大まかにではありますが、各学年各学期の意味づけをまとめてみました。

  • 高1・一学期:学校に慣れる
  • 高1・二学期〜高2・一学期:???
  • 高2・二学期:受験勉強スタート
  • 高2・三学期:受験学年準備
  • 高3・一学期:高2までの集大成
  • 高3・二学期:実践対策期

このように、高1の二学期から高2の一学期までの期間以外は生徒達がやるべきことの「スタンダード」がある程度決まっていますので、指導も比較的しやすいのです。しかし、これから始まる高1の二学期以降については一部の最難関大(東大・京大・国公立医)を目指す生徒を除いてスタンダードが存在しません。

では、どうでもいい時期なのかといえばそれも違います。むしろ、この時期をどう過ごしたかがこの後の生徒の動きを左右する大事な時期です。この時期は「走る方向を決める」時期なのです。高2の二学期からいざ走りだそうとしても、走る方向が決まっていなければスタートできません。

つまり、前回の学年便りに書いたように「興味を掘り下げる」「武器にできる教科をつくる」の二本柱はこれからの時期においても基本方針となります。その上で今回は二学期の生徒達の様子の典型例を書いてみたいと思います。

9月 レールを外れ始める一ヶ月

一学期、多くの生徒達は程度の差はあれ学校が敷いたレールの上を走ってきました。右も左も分からない高校生活ですから、先生に「これをやれ、あれをやれ」と指示されれば、とりあえず従っておくのが当然の動きでしょう。出された宿題をちゃんとこなし、小テストの準備をし、定期テストに向けて頑張る。一言で言えば「真面目ないい子」。これが徐々に変わり始めるのがこの9月からです。

理由は至極シンプルです。高校生活がどんなものか「大体分かった」から。ここまでなら手を抜いても大丈夫、これはやらないとマズい、これはやらなくていい、という暗黙の了解を持てるようになり、さらに夏休みというたがが外れる時期がダメ押しをしたのです。この状況にさらに以下の二点が加わります。

  • 学校行事(文化祭や体育祭など)
  • 残暑の虚脱感

学校行事については学校毎に開催時期が違うのでズレるかも知れませんが、多くは二学期のどこかで行われるため、いずれにせよ準備に時間を取られます。さらに夏が終わったことから来る謎の虚脱感も見逃せません。塾で見ていても、8月夏期講習では元気いっぱいだった生徒達が数日後、9月になって学校が始まった途端に謎のアンニュイな感じを出し始めるのは恒例です。

そんな中で、学校の授業スピードは上がり始めます。一学期の「お試し期間」が終わり通常運転になったというところでしょうか。正直なところ、高校で学ばなければいけない勉強の量はかなり膨大で、授業で懇切丁寧に説明をしていてはまずカリキュラムが終わりません。となると当然、授業ではポイントだけをかいつまんで教えて後は生徒自身で埋めてもらうしかなくなります。さらに、ポイントだけは教えてくれるといっても、それも授業時間内で理解しきれるものでもありません。この時期から徐々に成績が下がり始める生徒が多いのは、生徒が勉強しないからというだけではなく、授業スピードの違いも大きく影響しています。

10月〜12月 “分かたれる”時期

9月の状況を受けて、10月から12月にかけて色々なものが「二分化」し始めます。まず起こるのが得意教科と苦手教科の明確化でしょう。特に数学については、早い生徒はここから「自分は文系に行くことにしたから数学は捨てる」といい始めます。高1の二学期から高2の一学期までの期間、塾の講師が生徒の勉強に強く介入する機会はあまりないのですが、その数少ない機会がこれです。

生徒達が数学を捨てるという場合、その多くは数学を「理系に行くために必要なもの」としか思っていません。しかし実際には、数学を捨てた場合「国公立ほぼすべて」と「私立経済・商・社会系」の選択肢を捨てることを意味します。上位大学についていえば、文学部のような純文系学部であってもほぼすべての生徒が数ⅡBまでしっかり学んでおり、大学の授業もそれを前提に進められます。つまり、数学を捨てた場合残るのは中堅私立大の文・法・国際学部系程度しかないのです。生徒の将来を狭めるという意味でこれほど強烈な選択は他にありません。このような事情から、数学についてはなんとしてでも学校の授業が「何となく分かる」程度のレベルはキープしておく必要があります。

次の二分化は模試上位層とそれ以外の二極化です。8月に行われた第二回全統模試では、まだ学年が始まったばかりということもあり、中学までの貯金が生きていました。しかし、11月に行われる第三回になると、高校生になってからどのように学んだかが影響してくるようになります。上述の通り高校の授業で教わるのは基本だけです。応用は自分で学ばなければなりません。また、一度内容を理解しても、演習をつまなければ再現できません。「学んだ基本を応用するための試行錯誤」と「学んだことを再現できるための演習」の二点については自分でやらなければならないのです。そして、自分でやった生徒だけが模試で高得点をとることができます。ちなみに、定期テストについては授業で学んだ基本を覚えているかどうかをはかることがメインのテストですので、定期テスト上位層が皆模試上位層になるわけではありません。

この時期の模試で結果を出せるようになった場合、上位大学への進学可能性はかなり大きくなります。もちろんこの時期結果が出ていなければだめというわけではありませんが、ライバルに対してリードできていることは確かでしょう。

最後の二分化は熱中できるものを持っている生徒と持っていない生徒の二極化です。高校入学以前から熱中できるものを持っていた生徒の場合多くはそのまま持ち続けますが、一部の生徒は興味を失い無趣味化してしまうことがあります。比較的多いのが、中学校と同じ運動部に入ったものの肌に合わず退部してしまうパターンでしょう。一方で、中学時代は特に熱中できるものがなかったのが、高校に入ってそれを見つけたというパターンもあります。部活動以外でも友人関係や学校外の活動など、どのようなジャンルであれ、「面白い」と思えるものを持っている生徒と「何も興味が無い」という生徒に分かれていきます。

保護者の方に知っておいていただきたいこと

ここまでに、12月までの生徒の様子を大まかに書いてみました。特に10月〜12月については、はっきりと変化が出てくる時期ですので、良くない方向に行ってしまったらどうしようとご心配かと思います。しかし、そこまで心配される必要はありません。

ストレートに書いてしまえば、ほとんどの生徒はこれから来年の7月まで、程度の差はあれ勉強へのモチベーションは低下します。むしろ低下するのが当たり前といっていいかもしれません。しかし、皆時間の経過とともにモチベーションを復活させていきます。

1年次の足踏みは致命傷ではありませんし、巻き返しは十分可能です。勉強面においては1月〜2月の大学受験シーズンに部活の先輩達が頑張る姿を見て覚醒する生徒もいます。時期的にも猶予はまだまだありますので、過度に不安に思われずに見守ってあげてください。

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