今回は、高3の一年間の大まかな流れをお伝えしておきたいと思います。
高校3年生の1年間は、全体的に見れば「受験学年」の一言で終わってしまいますが、内実は山あり谷ありで変化に富んでいます。
- 高2・三学期:受験学年準備
- 高3・一学期:高2までの集大成
- 高3・二学期:実践対策期
勉強面とは異なり、学校行事などのアクティビティについては特筆するものは多くありません。ただ、高3の一学期までは部活動の最後の大会が残っている生徒も多いと思いますので、勉強との両立が重要になります。
4月〜6月 部活との両立期
生徒の様子
- 部活動の最後の大会が終わる生徒が出始め、受験へ向けた意識が本格化(6月)
- 部活動との両立がうまくいかずバランスを崩す
- 志望校についてはまだ「なんとかなる」という意識が強く、厳密に絞りきれない
塾での様子
- 全統模試第一回(マーク)に向けた準備(4月)
- 全統模試の分析を通して、改めて今後の勉強計画を定める(5〜6月)
- 全統模試第二回(マーク)に向けた準備(6月)
この時期のポイントはやはり「部活動との両立」でしょう。高3に入っても部活動を継続している生徒の場合、ほぼ確実に“最後までやる”ことを決めています。そうすると当然部活動にも本腰を入れて取り組むため、どうしても時間が足りなくなります。その際に危険なのは「こんなに細切れにしか勉強できないならいっそ部活引退までは部活に専念して…」と考えてしまうこと。ゼロかイチかの二者択一に陥ることなく、短い時間を確実に拾って勉強を進める経験が2学期以降とても役に立ちますので、“どちらもやる”で耐え抜くことが重要です。
7月 一学期の集大成
生徒の様子
- 多くの生徒が部活を引退し、本格的に勉強を始める
- 授業内容やテスト内容の難度が増し、自身の学力との差からショックを受ける生徒が出てくる
塾での様子
- 基礎レベル(教科書内容)の知識習得の最終段階であることを周知
- 各教科での到達目標を伝える
- 第一、第二志望校の最終決定
生徒の様子で重要なのは「2」でしょう。これまで模試や各種テストを軽く考えてそこまで気にしてこなかった生徒も、この時期になると点数が合否と直結していることを体感するようになります。その結果、点数が出ていない教科(特に理社)に関して過度に意識を向けてしまい、モチベーションが変動する可能性があります。
8月 受験の天王山
生徒の様子
- 長い自由時間をもてあますため、「時間をつぶす勉強」になってしまう生徒が出てくる
- 焦りからひたすら問題を解き続ける生徒が出てくる
- 過度に気負って空回りする生徒が出てくる
塾での様子
- 私立本試験、国立2次試験レベルの内容に踏み込み、「思考力」を問われる問題への取り組み方を指示
- 焦りを押さえ、効率的な勉強を行うためのアドバイスを伝える
- 勉強時間の目安は12時間
この時期のポイントは「気負いすぎもせず、だらけもせず、淡々と」の一言に尽きます。やるべきメニューは7月模試の分析やこれまでの勉強計画によって明確になっていますので、それを黙々とこなすことに全力を尽くします。
9月 夏疲れ
生徒の様子
- 夏の盛り上がりが様々な学校行事によって消されてしまい、一度モチベーションが大きく落ち込む
- 全統記述模試第二回の手応えが悪く、「あんなに頑張ったのに」とショックを受けて脱力する
塾での様子
- リアルな合否の可能性を伝えるとともに、受験校の最終選定を始める
- 国立2次試験向けの記述問題への取り組み方を指示
- 新しいことを始めるのではなく、夏のやり残しを終わらせる
- 過去問演習開始(GMARCH以上)
9月は一言で言えば「谷間の時期」です。学校によっては文化祭や体育祭が行われることもあるため、勉強への脱力に拍車をかけることになります。また、多くの生徒達は少なからず「頑張った夏」のご褒美として成績向上や手応えを求める時期です。しかし、実際のところ夏の成果はもう少し後(10〜11月)に出てくるため、手応えのなさにショックを受ける生徒もいます。
塾の指導ではこのタイミングで一度志望校の見直しに入りますが、これは模試の判定によって上げる下げるを決めるものではなく、生徒の本心を確認するものです。自身の偏差値と志望大学の偏差値が大きく離れていた場合でも、生徒が心から「まだ行ける!」と思っている場合、志望校を変える必要はありません。問題は、生徒も心の底では「無理だな」と思っていながら口では「○○大志望」と言っている場合です。この二重構造はあまり意味がありませんので、そうなった場合には変更を示唆します。
10月 復活の時期
生徒の様子
- 第一志望校の変更を行う生徒が出てくる
- 9月の勉強不調を引きずり、モチベーションが回復しない生徒が出てくる
塾での様子
- 模試の冷静な分析により自身の問題点を精密に炙り出させる
- 併願校研究指示(10校程度)
- 志望校と行動がかけ離れている場合には、志望校変更のアドバイスを行う
- 過去問演習開始(日東駒専以上)
9月の脱力を経て、一度仕切り直し、モチベーションを復活させていく一ヶ月です。第3回全統模試が記述、マークともに行われると同時に、自身の勉強としては各大学の本試験に向けた過去問演習がメインになります。
11月 精神的に揺れる時期
生徒の様子
- 受験のプレッシャーを本格的に感じ始める
- 異常行動に出る生徒も出てくる
塾での様子
- 意識を変えるために志望校下見に行くようアドバイスをする
- フラストレーションを解消するための面談を行う
勉強面においては過去問演習がすべての時期です。過去問を解き、分析し、必要な知識や思考法を抽出し体得するというかなり高度な勉強を行うことになります。
一方で、受験への不安や恐怖も大きな高まりを見せます。周囲との衝突も多くなり、保護者、学校や塾の講師、友人との関係が険悪になる生徒もいます。この11月〜12月あたりが受験期の精神的に「しんどい」部分のピークとなるでしょう。
12月 勉強法が揺れる直前期
生徒の様子
- 学力のマイナス面ばかり見えてしまい、極端な勉強法に走る生徒が出てくる
- 密かに「あきらめ」てしまう生徒が出てくる
塾での様子
- 改めて勉強プランを洗い出し、極端な勉強法の修正を行う
- 基礎レベルの最終確認を行う(暗記物の完成)
生徒の不安がピークに達するタイミングです。勉強面ではこれまでやってきたことをガラリと変えようとしたり、あるいはやっているふりになってしまったりと勉強面での揺れが大きくなります。これらの揺れを抑えてこれまでやってきたことをやり抜けるかどうかが合否を決めてきますので、塾でも頻繁に勉強チェックを入れていきます。
1〜2月 受験期
生徒の様子
- 共通テストで失敗した場合、私立までに意識を立て直せない生徒が出てくる
- 学校(塾)に来なくなる
塾での様子
- 私立入試、国立二次に向けて最後の知識確認、問題演習を行うよう指示
- 試験直後の面談による「仕切り直し」
ポイントは生徒に「心の内を吐き出させる」ことに尽きます。入試は想像以上にメンタルがものをいう勝負です。ある試験で「うまくいかなかった」意識を持ったまま次の試験に臨むのは非常に危険です。学校が自由登校になっても塾には顔を出し、試験毎に講師と面談して内容を整理することで、次の試験にいい状態で臨むことができます。
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