集団授業の今昔
明治時代に現在の学校教育の礎が築かれて以来長い間、日本の教育は集団授業形式で行われてきました。一人の先生が教壇に立ち大勢の生徒を教えるという非常になじみ深い形式です。
この形は1990年代以降急速に発展したIT技術の恩恵を受けて、衛星授業、インターネット授業というようにバージョンアップを重ねています。もちろん現在でも昔ながらのライブ授業は学校・塾、至るところで行われていますが、授業を開講するために多くの講師を必要とし、クオリティにどうしてもばらつきが出るライブ授業と比べて、一人の(熟練)講師が授業をすれば済むインターネット授業のほうがその「授業クオリティ」においては高くなります。
個別授業の今昔
1990年代後半から大ブームとなったもう一つの授業形式が個別授業です。生徒一人一人のニーズに合わせて1対1、あるいは生徒2〜3対講師1で教えてくれるこの授業形式は、遙か昔から存在する家庭教師の発展系でした。この形式は「生徒のニーズに合わせる」ことが売りであるため、IT技術の発展の影響を受けることは比較的少なく、今でも対面形式が優勢を保っています。
しかし、近年大きな変化が起ころうとしています。講師の役をAIに置き換え、授業から学習指導までをAIが行うというものです。そんなことが可能なのかと思われるかも知れませんが、実は個別授業の授業クオリティは元々高くありません。というのも、集団授業とは異なり、未熟な大学生が研修もろくに受けずにアルバイト講師として教えていることが多いのです。正直なところを言えば、未熟な大学生アルバイトよりもAIの方がよほどクオリティは高いでしょう。
勉強の未来の姿
2020年代に入った今、上に述べたような状況をまとめるとこうなります。
集団授業は熟練プロ講師の凄い授業をインターネットを通じて視聴し、個別の質問や勉強の相談はAIが受ける
実際のところ、この未来は非常にリアルで、教育業界では「塾どころか、もはや学校すら必要ないのでは?」と誰しもがうっすら考えています。現在小・中・高で行われようとしているアクティブラーニング(対話型授業)は、実はこのような学校不要論への対応策でもあります。
変わってはいけないもの
率直に言って、我々も集団授業のオンライン化や個別「授業」のオンライン化、AI化には賛成です。進学塾を長く運営して来た経験から、優秀な集団授業講師の数は多くないことを知っていますし、アルバイト個別授業講師の平均的なクオリティがあまり高くないことも知っているからです。
ただし、ここだけは、人と人が顔を見ながら行わなければならない。そう強く感じるポイントがあります。
それこそが「学習指導」です。
なぜ学習指導は対人で行われるべきなのか
生徒達に学習指導をしていると様々な問題に直面しますが、生徒達が抱える問題は大体以下のものに絞られます。
- やる気にならない
- やっているのに点数につながらない
保護者の方は生徒の口からこのような悩みを聞いたことが恐らくあるはずです。この二つの悩みはどれもその原因が「心の底」にあることが多く、表面的な対応策では変化しないものなのです。
例えば高3の春、夏になって「やる気にならない」生徒の場合、やらなければならないことを当然“頭では”分かっています。理屈の部分ではしっかり理解しているのです。であるならば、理屈通りに動けないのは、感情か、あるいは習慣が邪魔をしているかです。
少し指導経験のある講師ならそこまではすぐに思いつきます。しかし、難しいのはそれらの「感情」や「習慣」を生徒自身が自覚できるようにすることなのです。特に大学受験になると、生徒達はほぼ大人の精神を持っています。周囲から言われたからといって行動にはつながりません。唯一状況を変えられるのは生徒自身が自分の問題点に「気づき」「直視」したときだけです。
また、後者の例も原因は心の底にあります。各教科でうまくいっていない原因を対話して深めていくと、多くの生徒達には、「ここは何となく苦手だから触れたくない」と感じている部分があり、その部分は勉強が形だけになっていることが分かります。そのことを指摘したとき、驚く生徒はほとんどいません。大体は「言われてみれば薄々感じていました」と言います。心の底では分かっているけど見ないようにしていた単元や知識があることを「気づき」「直視」することではじめて成績は上向きます。
このような「気づき」を導く対話はとても“人間的”です。話し方、表情など数値化されない情報を読み取り、講師はその都度適切な質問を投げかけ、生徒はそれに答え、ゆっくりと核心に近づいていきます。このプロセスは、遠い将来は分かりませんが、現状AIにはできない部分でしょう。さらに言えば、このような学習指導の経験が無い人間の講師にも当然できません。
我々の指導ではインターネット回線を使って双方向映像対話を行いますが、これは電話やテキスト(メールやメッセージアプリ)では代わりにすることができません。もちろんテキストも補助的には使用します。しかし、最も核心の部分である「対話を通じた学習指導」はあくまでも人対人で“人間的”に行っていきます。
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